概要

キム・コリンは、ロサンゼルス出身でロンドンを拠点とする建築家・プロダクトデザイナーである。建築を学んだのち出版の仕事を経て、2002年にサム・ヘクトとインダストリアル・ファシリティを設立した。ハーマンミラー、マッティアッツィ、タクトなどの製品を手がけている。

バイオグラフィー

ロサンゼルスの出身。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で学士号を取り、南カリフォルニア建築大学(SCI-Arc)で建築学の修士号を得た。美術史も学んでいる。

1997年にロンドンへ移り、出版社ファイドンで建築家ピエール・コーニッグ(Pierre Koenig)とジョン・ジャード(Jon Jerde)の最初の作品集を編集した。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートとAAスクールで建築設計を教え、ECAL(ローザンヌ州立美術学校)でも教えている。

2002年、ヘクトとともにロンドンでインダストリアル・ファシリティを設立した。2008年にハーマンミラーのデザイン・アドバイザーとなり、2015年にロイヤル・デザイナー・フォー・インダストリー(RDI)に選ばれた。2016年には、ネットワークに接続する製品を扱う部門フューチャー・ファシリティを設けている。

デザインの思想と方法

コリンは建築家としての訓練を、プロダクトデザインに持ち込んでいる。以下は主にコリン自身の発言と著述から読み取れる点である。

他のものがある世界のために設計する

2024年のDezeenのインタビューでコリンは、スタジオは他のものが置かれた世界のために設計しており、製品は部屋の中では静かで、そばにいて心地よいものであるべきだと述べている。同じ取材では、ガラス張りの個室ブースが増えすぎていると指摘している。

循環性を訴求点にしない

コリンは、タクトのボウ チェア(1枚のオーク合板から作る組み立て式の食卓椅子)について、循環性は設計の考え方に内在しているがメッセージではないと述べている。リサイクルできることを前面に出さず、長く使えて座り心地がよいことが椅子の訴えだという立場である。

意見の対立を設計に使う

コリンは、ヘクトと議論を重ねることでプロジェクトがよくなると話している。二人は出身地が異なり、文化的な背景の違いが別々の視点を生むという。

書くこと

執筆は実務の一部で、製品の背景にある状況を説明する手段になっている。著書・編著に『Usefulness in Small Things』『Things That Go Unseen』がある。

代表作にみる方法

ブランカ チェア(2010年、マッティアッツィ)はサム・ヘクトのページで扱う。

ロケール(2013年、ハーマンミラー)

オープンプランの事務所向けの家具システムで、2013年のNeoCon(シカゴ)でハーマンミラーのリビング・オフィス構想の一部として披露され、同年のシルバー賞を受けた。開発に2年以上かかっている。床面に脚のない片持ちの丸いテーブル、縦の板で覆った低い直線状の基部「ワークベース」にデスクや会議卓を取り付ける構成、そこから外して動かせる昇降テーブルやスクリーン、収納を組み合わせる。コリンは、現代の仕事では近接ではなく目的を共有する人どうしが結びつくので、ロケールは関係の深い同僚を物理的に近くに置く仕組みだと説明した。

スリング ラウンジチェア(2021年、タクト)

斜めに傾いた布張りの座面を認証材のオークの枠に掛けた、伝統的なラウンジチェアの再解釈である。木の部材に分けて平らに梱包し、4本のねじで組み立てる。摩耗した部品は交換できる。

トゥリパン(+Halle)

デンマークの+Halleと開発した布張りのブースである。コリンは取材で、ガラスで密閉した電話ブースが多すぎると述べ、閉じすぎずにプライバシーを保てる中間の形はないかと問うている。

評価と影響

スタジオの作品は二人の共同名義で発表されている。ファイドンが2018年に作品集を刊行した。

受賞・収蔵

受賞

  • 2011年 ファニチャー・デザイン・オブ・ザ・イヤー(デザイン・ミュージアム、ブランカ チェア)
  • 2015年 ロイヤル・デザイナー・フォー・インダストリー(英国王立芸術協会)

収蔵

以下の収蔵が確認できる(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、AIC=シカゴ美術館)。V&Aはブランカ チェアを2件収蔵し、作者欄をコリンとヘクトでそれぞれ登録している。AICの収蔵はインダストリアル・ファシリティ名義の登録で、ヘクトのページと共通する。MoMAおよびMetでは該当する収蔵は確認できなかった。

  • V&A ブランカ チェア(2010年) 収蔵番号 W.17-2011
  • AIC フラットウェア(2006年) 収蔵番号 2011.771
  • AIC セカンド テレフォン(2002-06年) 収蔵番号 2011.772
  • AIC シティ・イン・ア・バッグ(2005年) 収蔵番号 2011.773
  • AIC サバービア・イン・ア・バッグ(2005年) 収蔵番号 2011.774
  • AIC スペース・イン・ア・バッグ(2005年) 収蔵番号 2011.775
  • AIC ペンタゴン 万年筆(2011年) 収蔵番号 2011.777
  • AIC チャントリー モダン ナイフシャープナー(2005年) 収蔵番号 2011.778
  • AIC パスポート メモ ノートブック(2006年) 収蔵番号 2011.780
  • AIC ワイン オープナー(2007年) 収蔵番号 2011.781
  • AIC タイマー ライト(2011年) 収蔵番号 2011.783
  • AIC テーブル、ベンチ、チェア(2009年) 収蔵番号 2011.701
  • AIC アナーム バイブレーション ウォッチ(2010-11年) 収蔵番号 2012.19
  • AIC ジェットラグ クロック(2008-11年) 収蔵番号 2012.22
  • AIC ベル クロック(2009-11年) 収蔵番号 2012.25

作品一覧

いずれもサム・ヘクトとの共同設計による。無印良品やIDEA向けの小物は、AICの収蔵一覧に挙げた。

発表年 区分 作品名 ブランド
2009年 家具 テーブル、ベンチ、チェア Established & Sons
2010年 椅子 ブランカ チェア Mattiazzi
2013年 オフィス家具 ロケール Herman Miller
2021年 椅子 スリング ラウンジチェア Takt
ブース トゥリパン +Halle

プロフィール

出身地 アメリカ・ロサンゼルス
国籍 アメリカ/イギリス
活動拠点 ロンドン
分野 家具、オフィス家具、日用品
主な協働ブランド Herman Miller、無印良品、Mattiazzi、Takt、Emeco

Reference

Industrial Facility(公式)About
https://www.industrialfacility.co.uk/about-us
Kim Colin | Royal Designers for Industry
https://royaldesignersforindustry.org/rdi/30/kim-colin
Essence of Things 講演 | KYOTO Design Lab
https://www.d-lab.kit.ac.jp/events/2018/essence-of-things-lecture/
Sam Hecht and Kim Colin | Herman Miller
https://www.hermanmiller.com/es_lac/designers/hecht-and-colin/
Kim Colin and Sam Hecht of Industrial Facility | Dezeen(2024年)
https://www.dezeen.com/2024/09/04/industrial-facility-kim-colin-sam-hecht-interview/amp/
Locale Office Furniture by Industrial Facility for Herman Miller | Dezeen
https://www.dezeen.com/2013/06/23/locale-office-furniture-by-industrial-facility-for-herman-miller/
Sling Lounge Chair | Dezeen
https://www.dezeen.com/2021/05/12/sling-lounge-chair-takt-industrial-facility-dezeen-showroom/amp/
Branca Chair | Victoria and Albert Museum
https://collections.vam.ac.uk/item/O1224758/
Industrial Facility | Phaidon
https://www.phaidon.com/products/industrial-facility
Art Institute of Chicago | Industrial Facility(City in a Bag)
https://www.artic.edu/artworks/213193