概要
ハンス・グゲロット(1920-1965)は、オランダ生まれのデザイナー・教育者である。ウルム造形大学で製品設計の課程を率い、同校とブラウンの協働を主導した。1956年のSK4はディーター・ラムスとの共同設計で、透明の蓋を持つレコード再生機にあたる。45歳で没している。
バイオグラフィー
1920年4月1日、オランダのマカッサル(現インドネシア)に生まれた。スイスで建築を学び、チューリッヒ連邦工科大学(ETH)を1946年に修了している。
マックス・ビルの事務所で働いたのち、1950年に自身の事務所を開いた。
1954年からウルム造形大学で教え、製品設計の課程を率いた。同校とブラウンの協働を主導している。
1956年にディーター・ラムスとSK4を設計した。1965年9月10日、45歳で没している。
デザインの思想と方法
グゲロットが扱ったのは、個々の製品ではなく製品群を体系として構成する方法である。部材を共通にし、寸法を規格化すれば、多数の品目を少ない種類の部品で構成できる。この考え方を教育の課程にも組み込んだ。
部材を共通化する
複数の製品で同じ部材を使えば、製造の工程と在庫が減る。設計の対象は個々の製品ではなく、部材の体系になる。
機構を見せる
SK4では、レコードを載せる部分の蓋を透明のアクリルとした。動作が外から見える。当時の同種の製品は木の蓋で覆うのが通例だった。
寸法を規格化する
音響機器の系列では、幅と高さを規格として定めた。積み重ねたときに面が揃い、組み合わせて使える。
教育の課程として組み立てる
ウルム造形大学では、製品設計の課程を率いた。数学と科学を前提とし、形を条件から導くという手順を教えている。ブラウンとの協働も、この課程の一部として行われた。
ブラウンの歴史や他の製品について詳しくはブラウン ブランドページをご覧ください。
代表作にみる方法
SK4(1956年、ブラウン)
ディーター・ラムスとの共同設計によるレコード再生機である。レコードを載せる部分の蓋を透明のアクリルとし、動作が外から見える。当時の同種の製品は木の蓋で覆うのが通例だった。ニューヨーク近代美術館とメトロポリタン美術館が収蔵している。→SK4 レコードプレーヤー
カルーセル-S スライド映写機(1963年)
環状の枠に収めたスライドを順に映す装置である。枠を回転させることで映す順序が決まる。ニューヨーク近代美術館が収蔵している(収蔵番号343.1969)。
ブラウンの音響機器の体系(1950年代〜)
幅と高さを規格として定め、積み重ねたときに面が揃うようにした。組み合わせて使える構成にあたる。
ウルム造形大学の課程(1954-1965年)
製品設計の課程を率いた。数学と科学を前提とし、形を条件から導くという手順を教えている。
ハンブルク地下鉄の車両(1962年)
車両の内装と外装を設計した。公共の交通機関を対象とする仕事にあたる。
評価と影響
グゲロットは、ウルム造形大学の製品設計の課程を率いた教育者として言及される。同校とブラウンの協働を主導し、以後の同社の製品の方向を定めた。
部材を共通化し寸法を規格化するという考え方は、個々の製品ではなく体系を設計するという立場にあたる。
1965年に45歳で没した。ディーター・ラムス、ラインホルト・ヴァイス、フロリアン・ザイフェルトらが以後のブラウンの設計を担っている。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(MoMA=ニューヨーク近代美術館、Met=メトロポリタン美術館)。
- MoMA ラジオ・フォノグラフ(モデルSK 4/10、1956年) 収蔵番号 205.1958
- Met ラジオ・フォノグラフ(モデルSK 4/10、1956年) 収蔵番号 2023.356a, b
- MoMA カルーセル-S スライド映写機(1963年) 収蔵番号 343.1969
V&A、AIC では該当する収蔵は確認できなかった。
作品一覧
| 発表年 | 区分 | 作品名 | ブランド / 場所 |
|---|---|---|---|
| 1954-1965年 | 教育 | ウルム造形大学 製品設計課程 | ウルム、ドイツ |
| 1956年 | 音響機器 | SK4 レコードプレーヤー | Braun |
| 1950年代〜 | 音響機器 | ブラウンの音響機器の体系 | Braun |
| 1962年 | 車両 | ハンブルク地下鉄の車両 | ハンブルク、ドイツ |
| 1963年 | 光学機器 | カルーセル-S スライド映写機 | Kodak |
| 1950-60年代 | 家具 | 収納の体系 | Bofinger ほか |
プロフィール
| 生没年 | 1920年4月1日〜1965年9月10日 |
|---|---|
| 出身地 | オランダ領東インド・マカッサル |
| 国籍 | オランダ(のちドイツ) |
| 活動拠点 | ウルム、ドイツ |
| 分野 | 家電、音響機器、家具、教育 |
| 主な協働ブランド | Braun、Kodak |
Reference
- HfG-Archiv Ulm
- https://hfg-archiv.museumulm.de/en/
- Braun
- https://www.braun.com/en-gb
- The Museum of Modern Art Collection
- https://www.moma.org/collection/works/2325
- The Metropolitan Museum of Art Collection
- https://www.metmuseum.org/art/collection