WALTER KNOLL(ウォルター・ノル)

1865年の創業以来、150年以上にわたり卓越した品質と革新的なデザインを追求し続けてきたドイツ最高峰の家具ブランド、WALTER KNOLL(ウォルター・ノル)。ヴュルテンベルク王国の御用達として確立された伝統的な革製造の技術と、20世紀モダニズムの革新的な精神を融合させ、時代を超越する家具を創造し続けています。ヨーロッパで絶大な支持を得るその製品は、最高品質の素材、熟練の職人技、そして世界的建築家やデザイナーによるハイデザインという至極の組み合わせによって生み出されています。

ブランドヒストリー

革のビジネスから始まった家具王朝

WALTER KNOLLの歴史は、1865年にヴィルヘルム・ノルがドイツ・シュトゥットガルトに開いた革のビジネスに遡ります。当時ヴュルテンベルク王国の御用達であったことは、現代においてもウォルター・ノルの特徴である「ノールレザー」の卓越性の裏付けとなっています。革製造における妥協なき品質管理と伝統的な職人技は、ノル家の揺るぎない遺産として受け継がれてきました。

モダニティへの挑戦

1925年、創業者の息子であるウォルター・ノルが50歳で独立し、父親の事業とは一線を画す「Walter Knoll & Co. GmbH」を設立しました。この決断は、伝統を継承しながらも、新しい時代の家具デザインへと大胆に踏み出すものでした。1920年代、ウォルター・ノルは革新的な「アンチモット・スプリング」と「プロドモ・システム」を開発し、伝統的な張り地家具産業に革命をもたらしました。特にプロドモ・システムの曲線的なスチールパイプフレームは、すでにモダニティへの道を示していました。

バウハウスとの邂逅

1927年、ミース・ファン・デル・ローエの指揮による伝説的な展覧会「Die Wohnung(住居)」がシュトゥットガルトのヴァイセンホフ・ジードルングで開催されました。この展覧会は、世界中の近代建築と生活に基準を示すものとなり、ウォルター・ノルはミース・ファン・デル・ローエが設計した5つのアパートメントを含む合計9つのアパートメントを家具で装飾しました。この経験は、バウハウス運動の知識と家族の能力を融合させる契機となり、ブランドの方向性を決定づけるものでした。

国際的展開と新たな章

バウハウス運動の知識と家族の能力を携えた息子のハンス・ノルは、1938年にアメリカに渡り、当初は父親の製品を販売していましたが、1939年に独自の事業を開始しました。これがのちにアメリカの名門家具ブランド「Knoll(ノル)」として発展することとなります。ドイツに残ったウォルター・ノルは、第二次世界大戦後の復興期にも近代的な生活様式を提案し続け、ハンス・ノルも「Vostra」モデルで父親を支援しました。

現代への継承

1993年、ウォルター・ノルはロルフ・ベンツに買収され、現在は同グループの一員として事業を展開しています。マーカス・ベンツCEOの下、伝統的な職人技と最先端技術を融合させながら、ドイツ・ヘレンベルクとメッツィンゲンの生産拠点で、すべての家具を個別に製造し、多数の専門家によって検査されています。150年以上にわたる歴史の中で培われた価値観は、今もなお製品の隅々にまで息づいています。

ブランドの特徴とコンセプト

極上の「ノールレザー」

ウォルター・ノルの最大の魅力は、極上のレザーを使用した家具にあります。「いい革を選んで使う」のではなく、「いい革からつくって、さらに厳選する」というのが、ウォルター・ノルの家具づくりの基本姿勢です。牛の育成段階から徹底的に管理し、傷が付いていない良質な皮膚のみを厳選して革を生産しています。さらに縫製においても、革や糸が痛まない特別なミシンを使用するという妥協なき姿勢を貫いています。この品質管理の徹底により、傷みやすい革製品でさえ長期間の使用に耐えられる品質を実現しています。

五感に訴えるデザイン

ウォルター・ノルの家具が置かれた部屋では、人々はすぐに家にいるように感じます。デザインは五感に触れ、感情に影響を与えます。美学の核となる要素は、100年以上変わっていません。それは、最高品質の革、布地、木材であり、巧みに作られています。すべて自然からインスピレーションを得た、エレガントで調和のとれた色、形、質感という独自の快適システムを開発しています。

伝統と革新の融合

ウォルター・ノルは、伝統的な職人技と革新的な技術の完璧な融合を実現しています。ヘレンベルクの本社にある「グレーザーネ・マヌファクトゥア(ガラス張りの工房)」では、ガラス壁を通して精密な手作業による製造工程を見ることができます。最新のCNC技術から伝統的な張り地技法まで、あらゆる工程において卓越性を追求し、すべての家具が個別に製造され、厳格な品質検査を経て出荷されています。

多様性と普遍性

重厚な革製品のイメージが強いウォルター・ノルですが、そのコレクションは驚くほど多様性に富んでいます。EOOSによる革新的な「リビング・ランドスケープ」のような前衛的なコンセプト作品から、プレーベン・ファブリシャスとヨルゲン・カストホルムによる北欧モダニズムの名作「FKチェア」の復刻版まで、幅広いデザインアプローチを包含しています。住宅、オフィス、公共空間のいずれにおいても、ウォルター・ノルの家具はその空間に格調高い存在感をもたらします。

主要デザイナー

ノーマン・フォスター(Norman Foster)

世界的に著名なイギリスの建築家ノーマン・フォスターは、ウォルター・ノルを代表するデザイナーの一人です。「建築は芸術と科学の融合」を持論とする彼の哲学は、FOSTERシリーズに見事に体現されています。直線を強調したフォルムがシンプルで凛とした雰囲気を醸し出し、脚部と本体の間に隙間を持たせるなど、建築的な要素がデザインに巧みに組み込まれています。香港上海銀行、ドイツ連邦議会新議事堂など、世界中の象徴的建築プロジェクトを手がけてきたフォスターの家具デザインは、建築と家具の境界を超越した作品として高く評価されています。

EOOS(イーオス)

ウィーンを拠点とするデザインスタジオEOOSは、ウォルター・ノルの革新的なプロジェクトを数多く手がけています。特に「リビング・ランドスケープ」は、従来の家具の概念を覆す画期的なモジュラーシステムです。背面に収納シェルフを備え、コーナーソファを90度回転させることができるなど、柔軟性と機能性を兼ね備えた革新的なコンセプトは、現代の多様なライフスタイルに対応する家具の新しい可能性を示しています。

プレーベン・ファブリシャス(Preben Fabricius)& ヨルゲン・カストホルム(Jørgen Kastholm)

デンマークのデザインデュオによる「FKチェア」は、1960年代後半に発表された北欧デザインの傑作です。彫刻的なフォルムとエレガントな構造が特徴的なこのチェアは、ウォルター・ノルによって復刻され、「FK NEW EDITION」として現代に蘇りました。ハイバック、ローバックのバリエーションを持ち、その洗練されたデザインは時代を超えて愛され続けています。

ウォルター・ノル・チーム(Walter Knoll Team)

ブランド内部のデザインチームも重要な役割を果たしています。「369 アームチェア」をはじめとする数々のクラシックエディションは、ウォルター・ノル・チームの手によるものです。ブランドの伝統と価値観を深く理解したチームだからこそ実現できる、シンプルでエレガント、そして時代を超越したデザインは、どのような空間にも調和します。

その他の著名デザイナー

ウォルター・ノルは、世界中の才能あるデザイナーとのコラボレーションを展開しています。クラウディオ・ベリーニ、ダイ・スガサワ、ピアソン・ロイド、トアン・グエン、マウロ・リッパリーニ、隈研吾など、多様な文化的背景を持つデザイナーたちが、それぞれの視点からウォルター・ノルのコレクションに貢献しています。

代表作品

FOSTERシリーズ

ノーマン・フォスターによるFOSTERシリーズは、ウォルター・ノルを代表するアイコニックなコレクションです。FOSTER 500からFOSTER 510まで、アームチェア、ソファ、ベンチなど多様なラインナップを展開しています。直線的なフォルムと建築的なディテール、最高品質のレザーによる快適な座り心地が特徴で、映画『プラダを着た悪魔』や『ゴーストライター』にも使用されました。ドイツ国内のマイバッハやメルセデス・ベンツ、BMWのラウンジ、ベルリン国際空港のVIPラウンジ、日本ではサントリー美術館や根津美術館など、世界中の格調高い空間で採用されています。

FKチェア NEW EDITION

1969年にプレーベン・ファブリシャスとヨルゲン・カストホルムがデザインした北欧デザインの名作を、ウォルター・ノルが復刻したシリーズです。彫刻的なフォルムと精緻な構造美が特徴で、ハイバック版とローバック版が用意されています。半世紀以上の時を経ても色褪せないデザインの普遍性と、ウォルター・ノルの卓越した製造技術による完璧な仕上がりが、クラシックとコンテンポラリーの架け橋となっています。

リビング・ランドスケープ(Living Landscape)

EOOSによる革新的なモジュラーソファシステムです。背面に本や雑誌を収納できるシェルフを備え、コーナーソファは簡単な操作で90度回転させることが可能です。これにより、ソファからの眺望を容易に変えることができるという画期的な発想を実現しています。本革製で、3つの1人掛けソファとコーナーソファで構成される典型的なセットアップは、現代のフレキシブルな生活空間に完璧に適応します。

369 アームチェア

ウォルター・ノル・チームによるクラシックエディションの代表作です。シンプルなエレガンスで、リビングルームや玄関エリアを格調高く演出します。時代を超越した高品質なウォルター・ノルの家具の象徴として、長年にわたり愛され続けているロングセラーモデルです。

JAAN LIVING

EOOSによるJAANシリーズのリビングバージョンは、自然な生活の流れを包み込むソファです。エレガントな曲線と明確なデザイン言語、ミニマリストの美学を組み合わせています。座る、くつろぐ、仕事をする、読書をする、テレビを見るなど、あらゆる用途に対応し、一人でも愛する人々とでも、至福の時間を提供します。様々なサイズ、オープンまたはクローズドアームレスト、レカミエのオプションなど、パーソナライズされた体験を可能にします。

ブランドの評価と影響

ヨーロッパにおける絶対的地位

ウォルター・ノルは、ドイツ国内で圧倒的な人気を誇り、ヨーロッパ全土においても最高峰のブランドとして認知されています。毎年開催されるケルン国際家具見本市では、最も注目を集めるブランドの一つとして業界をリードしています。その製品は、単なる家具としてだけでなく、ステータスシンボルとして、また投資価値のある芸術作品として評価されています。

世界の名門空間での採用

ウォルター・ノルの家具は、世界中の格調高い空間で採用されています。ドイツ国内のマイバッハ、メルセデス・ベンツ、BMWの各ブランドのラウンジ、1975年に完成したベルリン国際空港のVIPラウンジ、ドイツ内外の一流企業のオフィスなど、その採用実績は枚挙に暇がありません。日本においても、サントリー美術館、根津美術館など、空間デザインに定評のある施設でウォルター・ノルの名作が選ばれています。

映画やメディアでの露出

ウォルター・ノルの家具は、その美しさと格調の高さから、数々の映画やメディアに登場しています。映画『プラダを着た悪魔』で主人公ミランダが座っていたチェアや、『ゴーストライター』でアダム・ラングの別荘に置かれていたデスクとチェアは、ウォルター・ノルの製品です。このような露出は、ブランドの国際的な認知度をさらに高めています。

時代を超越する価値

ウォルター・ノルの家具が持つ最も重要な特質は、時代を超越する価値です。ミニマルでありながら個性的なデザイン、経年変化を「愉しみ」にできる上質な素材、そして卓越した職人技による完璧な仕上がり。これらの要素が相まって、世代を超えて受け継がれる家具としての価値を創出しています。ウォルター・ノルは、本物志向の人々に愛されるプレミアムな家具をつくり続けるドイツを代表するブランドとして、その地位を確固たるものとしています。

基本情報

創業 1865年
創業者 ヴィルヘルム・ノル(Wilhelm Knoll)
現社名設立 1925年(ウォルター・ノルが会社を継承)
本社所在地 ドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州ヘレンベルク
Bahnhofstrasse 25, 71083 Herrenberg, Germany
生産拠点 ヘレンベルク、メッツィンゲン(ドイツ)
現経営体制 ロルフ・ベンツグループ(1993年買収)
CEO:マーカス・ベンツ(Markus Benz)
ブランド哲学 最高品質の素材、熟練の職人技、時代を超越するデザイン
主な特徴 「ノールレザー」による極上の革製品、バウハウスの精神を継承した近代デザイン
公式サイト https://www.walterknoll.de