Rimadesio(リマデシオ)― ガラスとアルミニウムで空間を再定義するイタリアンデザインの先駆者

1956年の創業以来、ガラスという素材の可能性を追求し続けてきたリマデシオは、スライディングドアやモジュラーシステムを通じて、住空間と建築の境界を溶かす独自のデザイン哲学を確立した。ミラノ北部ブリアンツァ地区に本拠を構え、100%メイド・イン・イタリーを貫くこのブランドは、技術革新と環境持続可能性、そしてミニマルな美の追求という三つの柱を礎に、世界90カ国以上へその洗練されたコレクションを届けている。

リマデシオの製品は、空間を仕切りながらも視覚的な連続性を保つという、一見矛盾する命題への回答である。ガラスとアルミニウムという100%リサイクル可能な素材を主軸に、光の透過と遮蔽を自在に操るスライディングパネル、建築的精度を備えたブックケースシステム、そしてウォークインクローゼットからテーブルに至るまで、暮らしのあらゆる領域を統一されたデザイン言語で包み込む。建築家ジュゼッペ・バブーゾとの30年以上にわたる唯一無二のパートナーシップが生み出すコレクションは、合理主義と自然の調和を体現し、現代のインテリアデザインにおいて比類なき存在感を放っている。

ブランドの特徴・コンセプト

リマデシオのデザインコンセプトは、「空間の建築的定義」という明確なビジョンに集約される。ドア、スライディングパネル、ブックケース、ウォークインクローゼット、そして家具コレクションに至るすべての製品は、環境を分割し、インテリアに建築的な秩序を与えるシステムとして構想されている。その根底には、シンプルなコンセプトを卓越した技術力によって精緻に昇華させるという一貫した姿勢がある。

ガラスとアルミニウムの美学

リマデシオのコレクションにおいて、ガラスは単なる素材ではなく、ブランドのアイデンティティそのものである。創業時から50年以上にわたって蓄積されたガラス加工の技術は、すべて自社工場内で完結する。独自の「Ecolorsystem(エコカラーシステム)」と名付けられたラッカーガラスコレクションは、人体や環境に有害な成分を含まない水性塗料のみで構成され、光沢仕上げとマット仕上げの両方で展開される。この技術により、388種以上のフィニッシュを実現し、ガラス、アルミニウム、木材、レザー、天然石といった異素材を統一的な色調で調和させることが可能となっている。

「見えない快適さ」の追求

リマデシオのデザインは、日本の伝統的な襖や障子の精神性に通じるものがあると評されている。空間を仕切りながらも光を透過させ、領域を分けながらも一体感を保つ。アートディレクター兼デザイナーであるジュゼッペ・バブーゾが掲げる「壁とドアのない家(House Without Wall and Door)」というコンセプトは、物理的な境界を超えた空間体験を目指すものである。視覚的な軽やかさと構造的な堅牢さの両立、それがリマデシオの製品を貫く設計思想である。

環境持続可能性へのコミットメント

リマデシオにとって、環境への配慮は企業のDNAに組み込まれた本質的な価値観である。ジュッサーノ本社の屋根に設置された5,242枚の太陽光パネルは1.27MWpの発電能力を持ち、日常の電力需要の60%以上を自社で賄っている。2017年には欧州の産業界で初となるリチウムイオン蓄電プラントを導入し、太陽光発電の余剰エネルギーを蓄える仕組みを構築した。主要素材であるアルミニウムとガラスは100%リサイクル可能であり、梱包材にはリサイクル段ボールのみを使用してポリスチレンを完全に排除している。さらに社用車の電気自動車への全面転換を推進し、従業員に対しても電気自動車やエコ通勤に対する月額ボーナス制度を設けるなど、サステナビリティへの包括的な取り組みを展開している。2008年の太陽光発電導入以来、年間約800トンのCO2排出削減を達成しており、この数値はリマデシオの環境に対する具体的かつ測定可能なコミットメントを示すものである。

完全自社生産とインダストリー4.0

リマデシオの製品は、ジュッサーノの本社工場においてすべての工程が一貫して管理されている。ガラスの切断、機械加工、ラッカー塗装(Ecolorsystem)、組み立て、そして梱包に至るまで、インダストリー4.0の理念に基づく高度にコンピュータ化された設備が導入されている。この完全自社生産体制こそが、製品の均一性と精度を保証する基盤である。サプライチェーンの95%がイタリア国内、76%がロンバルディア州に集中しており、短距離サプライチェーンによる品質管理と環境負荷の低減を同時に実現している。大半の製品がカスタムメイドで製造されるにもかかわらず、高度な技術システムにより個々のプロジェクトに応じた寸法・仕上げの対応が可能となっている。

ブランドヒストリー

リマデシオの歴史は、1956年、二人の若き起業家フランチェスコ・マルベルティとルイジ・リボルディがミラノ北部デジオの地に「リマ・ヴェトラリア(Rima Vetraria)」を設立したことに始まる。社名は二人の姓の頭文字に由来し、デジオという地名が付されたこの小さなガラス工房は、やがてイタリア家具産業の黄金地帯ブリアンツァの一翼を担う存在へと成長していくことになる。

創業当初の事業は板ガラスの加工が中心であり、他の家具メーカーに向けて製品を供給していた。手彫りの装飾、金箔の施工、着色といった工程の大部分は職人の手作業によって行われていたが、そこには常に革新への強い意志が息づいていた。この時期に培われた独自のガラス加工技術は、のちのリマデシオの発展を支える不可欠な基盤となる。やがて素材の領域は木材やプレキシグラスにも拡張され、企業は地方の職人工房から国際的な産業企業へと変貌を遂げていった。

1968年、生産拠点をリッソーネに移転し、初のアルミニウム加工施設を開設する。この転機は、のちのガラスとアルミニウムの融合という独自路線の萌芽であった。

1986年、リマデシオの歴史において最も重要な出会いが訪れる。ケルンで開催されたディナーの席で、当時の経営を担っていたダヴィデ・マルベルティと建築家ジュゼッペ・バブーゾが出会い、すぐに意気投合する。当初はガラスを用いた小規模なアクセサリーのデザインから始まったこの協業は、1992年、ガラスとアルミニウムによるスライディングパネルシステム「シパリウム(Siparium)」の発表をもって画期的な転換点を迎える。当時、家具業界の製品がほぼすべて木材を主体としていた中で、ガラスとアルミニウムの組み合わせは極めて革新的であった。シパリウムは1994年にミラノで「Young & Design Award」第1位を受賞し、リマデシオの名を広く知らしめることとなる。

2000年代に入ると、製品ラインナップはスイングドア、ブックケース、ウォークインクローゼット、収納システム、テーブルなど多方面に拡大する。2000年にはゼニットシステムが英国で「KBB Review New Year's Honor-List」第1位を獲得、2005年にはグラフィスシステムがADIコンパッソ・ドーロ「Design Index」に選出されるなど、国際的な評価が続いた。

2003年、ミラノに最初のモノブランドショールームを開設し、独立した流通戦略の新たな段階に入る。2012年にはミラノのヴィスコンティ・ディ・モドローネ通りに旗艦店をオープンし、ブランドの発信拠点を強化した。その後、ロンドン、ニューヨーク(2022年マディソンアベニュー)、そして2025年にはパリに直営フラッグシップストアを相次いで展開し、グローバルなプレゼンスを確立している。

2016年、創業60周年を迎えたリマデシオは、共同創業者フランチェスコ・マルベルティの追悼を兼ねたバスケットボールトーナメント「トロフェオ・ロンバルディア」を開催し、その後も「リマデシオ・ロンバルディア・カップ」として継続されている。2025年上半期の売上高は約4,600万ユーロに達し、30期連続の黒字を記録した。現在、世界90カ国以上に展開する90以上のモノブランドショールームと4つの直営フラッグシップストア(ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、パリ)を擁し、2026年のミラノデザインウィークでは創業70周年を「BECOMING」というコンセプトのもとに祝う予定である。

主なインテリアとその特徴

Velaria(ヴェラリア)― スライディングドア

リマデシオを代表するスライディングドアシステムであるヴェラリアは、最大限の幾何学的精度を特徴とする。天井から床までを覆う大判パネルが、わずかな力でスムーズに滑動し、空間の開放と遮蔽を自在にコントロールする。ガラス、アルミニウム、木材、レザーなど多彩なフィニッシュが用意され、住宅からコントラクトまであらゆる空間に適応する。リマデシオ独自のレールシステムと金具は、デザインの洗練と耐久性を高い次元で両立させている。

Siparium(シパリウム)― スライディングパネル

1992年の発表以来、リマデシオのコレクションに今なお名を連ねるシパリウムは、ブランドの転換点を象徴する存在である。ガラスとアルミニウムによるスライディングパネルシステムとしてデザインの最大限の多様性と卓越したフィニッシュを両立し、1994年にはYoung & Design Awardを受賞した。折り畳み式の開閉メカニズムにより、空間を柔軟に再構成することが可能である。

Zenit(ゼニット)― モジュラーブックケース/ウォークインクローゼット

リマデシオのアイコニックな製品であるゼニットは、リビングルームのブックケースからウォークインクローゼットまで、あらゆる用途に対応するモジュラーシステムである。その核心は、独自の「オープンモジュラリティ」と呼ばれるエレメント接合システムにある。穴や固定フックを持たないアルミニウム支柱に、棚板やキャビネットを自由な高さと数量で配置することが可能であり、使う人のライフスタイルの変化に応じて構成を変えることができる。2000年に英国KBB Reviewの最高賞を受賞している。

Self(セルフ)― リビングシステム

モジュラーリビングシステムのセルフは、壁面収納からテレビユニット、デスクエレメントに至るまで、デイエリアの多様なニーズに応える統合的なソリューションである。Plan コンポーネントの追加により、ライティングデスクやリビングルーム家具など、デザインの柔軟性がさらに拡張された。

Cover(カバー)― クローゼットシステム

ウォールタイプ、フリースタンディングタイプ、そして2022年に追加されたオープンタイプの三つのバリエーションを持つカバーは、あらゆる空間構成に対応する包括的なクローゼットシステムである。フリースタンディングシステムは2016年にカナダのAZ Awardsで「Best Furniture System」を受賞した。

Alambra(アランブラ)/ Wind(ウインド)― ブックケース

アランブラはLED照明を棚板に統合した透明感あるブックケースであり、収蔵品を美しく演出する。ウインドはアルミニウムのみで構成されたミニマルなブックケースで、棚板と支柱がダイキャスト接合される独自の構造を持つ。ファイバーナイロン製のコネクティングジョイントによる垂直方向のモジュラリティが最大限の安定性を保証する。

Modulor(モジュラー)― 壁パネルシステム

正方形と長方形のパネルを自由に組み合わせることで、建築的ニーズに応じた空間全体の構成を可能にする多機能壁パネルシステムである。収納やディスプレイ機能を統合しながら、壁面にアーキテクチュラルな表情を与える。

Spazio(スパツィオ)― ウォールシステム

リニア、コーナー、C字型など多様な構成を可能にするスパツィオは、オフィス空間からウォークインクローゼットまで幅広い用途に対応する。固定壁とスライディングパネルが一体となり、高さ調整機能付きのアルミニウムプロファイルと19種のガラスフィニッシュにより、精密な空間分割を実現する。

テーブルコレクション

Long Island(ロングアイランド)、Francis(フランシス)、Rialto(リアルト)、そして2025年に発表されたLambda(ランブダ)など、リマデシオのテーブルコレクションは建築的なアプローチで設計されている。ガラス、天然石、木材、独自のTerrae(テッラエ)サーフェスなど多彩な天板素材を提供し、リビングからダイニング、コンファレンスルームまで、あらゆる空間に洗練を添える。ランブダは折り紙にインスピレーションを得た彫刻的なベースを特徴とし、2025年のModernity Flowコレクションとして米国市場に投入された。

主なデザイナー

ジュゼッペ・バブーゾ(Giuseppe Bavuso, 1959年 -)

ミラノ北部セレーニョを拠点とする建築家・デザイナーのジュゼッペ・バブーゾは、1986年以来リマデシオのアートディレクター兼唯一のプロダクトデザイナーとして、ブランドのコレクション全体を手がけている。ミニマリスティックな厳格さと綿密な技術研究を融合させるそのデザインアプローチは、革新的素材の活用と卓越した機能性の追求を特徴とする。

バブーゾのキャリア初期は、建築、集合環境の内装設計、さらには列車やスリーピングカーのインテリアデザインなど多領域にわたっていた。リマデシオとの出会いは1986年のケルンでの夕食会に遡り、以来30年以上にわたる協業はイタリアンデザイン界でも稀有な一貫性を持つパートナーシップとして評価されている。

主な受賞歴として、1994年ミラノ Young & Design Award第1位(Siparium)、2000年英国KBB Review Honor-List第1位(Zenit)、2005年ADI Design Index選出(Graphis)、2008年第21回コンパッソ・ドーロ推薦(Vela)、2013年Red Dot Award受賞、2021年ADI Design Index選出(Francis)などがある。リマデシオ以外にもエルネストメダやアリヴァー、エルコなど複数のブランドでアートディレクターを務め、キッチン、家具、建具の分野で幅広い活躍を続けている。

歴代の協力デザイナー

リマデシオの歴史においては、ジュゼッペ・バブーゾが唯一のデザイナーとして現在のコレクションを統括しているが、ブランドの成長過程ではジョルジオ・ポンティ、マルティーノ・ペレーゴ、エミリオ・タディーニ、カルロ・バルトリといった著名なデザイナーたちとの協働があったことも記しておきたい。

基本情報

ブランド正式名 Rimadesio(リマデシオ)
創業年 1956年
創業者 フランチェスコ・マルベルティ(Francesco Malberti)、ルイジ・リボルディ(Luigi Riboldi)
旧社名 Rima Vetraria
現CEO ダヴィデ・マルベルティ(Davide Malberti)
現CFO ルイジ・マルベルティ(Luigi Malberti)
アートディレクター ジュゼッペ・バブーゾ(Giuseppe Bavuso)/1986年より
本社所在地 イタリア ロンバルディア州 モンツァ・エ・ブリアンツァ県 ジュッサーノ(Giussano)
本社敷地面積 約30,000㎡
従業員数 約280名以上(本社および直営フラッグシップストア合計)
事業領域 スライディングドア・パネル、スイングドア、ブックケース・モジュラーシステム、ウォークインクローゼット、壁パネルシステム、テーブル、家具コレクション、コントラクト事業
展開国数 90カ国以上
直営フラッグシップストア ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、パリ
日本総代理店 株式会社チームネット イスティーレ事業部(ESTILE)
日本ショールーム 東京都港区北青山2-12-32(外苑前)/2018年オープン
公式サイト https://www.rimadesio.it/
日本公式サイト https://estile.jp/brand/rimadesio/