カリモク(Karimoku)
カリモク家具は、1940年の創業以来、木製家具を手がけてきた日本最大手の家具メーカーです。愛知県知多郡東浦町に本社を置き、創業者・加藤正平が掲げた「易きにつくな、難きにあたれ」という方針のもと、品質を重視した家具づくりを続けてきました。
下請けの木工所として出発したカリモクは、紡績機やミシンの木部品製造で培った加工技術を基礎とし、1962年に初の自社製品「Kチェア」を発表しました。以降、人間工学に基づく座り心地の研究や品質管理、職人技と機械加工の併用により、日本の住環境に合った家具をつくり続けています。
ブランドの特徴とコンセプト
品質と座り心地の追求
カリモクは「100歳の木を使うなら、その年輪にふさわしい家具をつくりたい」という考えのもと、創業以来品質を重視してきました。デンマークの家具品質管理の基準を参考に独自の品質基準を定め、座り心地の面では、椅子の高さや背もたれの角度を科学的に検証するなど、人間工学に基づいた開発を進めています。
木材への理解と持続可能性
天然素材ならではの節や木目、色ムラを「ナチュラルマーク」と呼び、天然木の証として活用しています。また1988年には、森林資源の保全を見据えてマレーシアで植林事業を始めるなど、持続可能な木材調達にも早くから取り組んできました。
カスタムオーダー・マインド(COM)
多様化する顧客の要望に応えるため、樹種や張地を選べる「カスタムオーダー・マインド(COM)」の仕組みを整えています。大量生産・大量消費ではなく、一人ひとりの暮らしに合わせた家具づくりを目指しています。
ブランドヒストリー
創業期(1940年代〜1950年代)
1940年、加藤正平が愛知県碧海郡刈谷町(現・刈谷市)に木工所を創業しました。戦後の1947年に刈谷木材工業株式会社を設立し、紡績機輸出用の梱包函の製造を開始。1951年には高度な木工技術を要するミシンのテーブル部分の製造を手がけ、後の加工技術の基盤を築きました。
家具メーカーとしての出発(1960年代)
1962年、カリモクはアメリカ輸出用の木製アームチェアを日本人の体型に合わせて改良し、初の自社製品となる製品番号1000番の椅子(後のKチェア)を発表しました。デザインを担当したのは奥山五男です。1964年にはカリモク家具販売株式会社を設立し、全国への供給体制を整えました。この時期には総張り椅子の技術習得にも取り組み、社員を京都の職人のもとへ弟子入りさせて技術を身につけさせています。
ブランド確立期(1970年代〜1980年代)
1973年には本社にショールームを開設しました。当時はショールームという概念がまだ一般的でなく、先駆的な取り組みでした。1974年にはトータルコーディネートが可能なシリーズ家具「コロニアルシリーズ」を発表。1983年には海外の様式を取り入れたブランド「ドマーニ」を発表し、この頃から海外市場も視野に入れた展開を始めました。
変革と多様化(1990年代〜2000年代)
バブル経済の終焉とともに、新築戸数の減少や婚礼家具文化の衰退といった逆風のなかで、カリモクは座り心地に注目した開発やCOMの仕組み化によって顧客の多様なニーズに対応しました。2002年には、デザイナーのナガオカケンメイの協力のもと「カリモク60」を立ち上げ、1960年代から作り続けてきた製品を「ロングライフデザイン」として再評価しました。2005年からはケルン国際家具見本市への出展など、海外展開を本格化させています。
新たな取り組み(2010年代〜現在)
2009年には、国産広葉樹の未利用材を活用する「Karimoku New Standard」を立ち上げ、クリエイティブディレクターに柳原照弘を迎えました。2010年には刈谷木材工業株式会社とカリモク家具販売株式会社を統合し、社名を「カリモク家具株式会社」に一本化しています。2019年には、建築の視点から空間と家具を考える「Karimoku Case Study」を発表し、デンマークのNorm Architectsと建築家の芦沢啓治をデザイナーに迎えました。2024年には東京・西麻布に複合施設「KARIMOKU RESEARCH CENTER」を開設しています。
代表的な家具とその物語
Kチェア(1962年〜)
カリモクの原点であり、60年以上にわたって作り続けられているロングセラーです。1962年、アメリカ輸出用の木製アームチェアを日本人の体型に合わせて改良し、初の自社製品として誕生しました。デザインを担当した奥山五男は、デンマークの家具品質管理の基準を参考にカリモクの品質基準を整えた人物でもあります。
手頃な価格と扱いやすさ、簡潔なデザインから、旅館のロビーや企業の応接間といった法人需要にも支えられ、流行が移り変わるなかでも一度も廃番にならずに生産が続いています。組み立て式で軽量、パーツごとの交換が可能なため、長く使い続けられます。座面には山型に反らせたSバネを用い、沈み込むだけでなく座る人をしっかり支える構造です。2002年に「カリモク60」が立ち上がると、Kチェアはその筆頭製品として改めて評価されました。
ロビーチェア(1968年〜)
Kチェアの6年後にあたる1968年、より良い座り心地と重厚感を求めて開発された総張り椅子です。万人に受け入れられる普遍的なフォルムを持ち、1980年代からは官公庁や病院などの法人需要が中心となりました。国産で修理にも対応でき、座り心地の改良を重ねながら、現在まで廃番になることなく作り続けられています。
コロニアルシリーズ(1974年〜)
カリモクが初めて、トータルコーディネートができるシリーズ家具として発表した製品群です。発売当初は椅子のみでしたが、現在ではボードやデスクまで幅広く展開されています。50年近くにわたって作られているロングセラーシリーズです。
主なデザイナー
- 奥山五男(おくやま いつお)
- カリモクが家具メーカーとして出発した当初からメインデザイナーを務めた人物です。アメリカ輸出用の椅子を手がけたのち、1962年にカリモクの原点となる製品番号1000番の椅子(後のKチェア)をデザインしました。デンマークの家具品質管理の基準を参考に、カリモクの品質基準を整えたことでも知られます。
- ナガオカケンメイ
- デザイナーで、D&DEPARTMENT PROJECTのディレクター。「ロングライフデザイン」を提唱し、2002年にカリモクと協力して「カリモク60」を立ち上げました。長く変わらず使い続けられる製品を集めたブランドとして再編集し、Kチェアとロビーチェアを筆頭製品に位置づけています。
- 柳原照弘(やなぎはら てるひろ)
- Karimoku New Standardのクリエイティブディレクター。2009年の設立時から、カリモクの製造技術と国内外のデザイナーのアイデアを組み合わせるプロジェクトを牽引しています。国産広葉樹の未利用材を活用し、森林保全や林業地域の活性化につなげる取り組みを進めています。
- 芦沢啓治(あしざわ けいじ)
- 建築家・デザイナー。2019年に始まった「Karimoku Case Study」のデザイナーとして参加しています。建築の視点から空間を捉え、その空間を構成する家具やディテールを考えるアプローチを特徴とし、Karimoku Commons TokyoおよびKyotoの空間設計も手がけました。
- Norm Architects(ノームアーキテクツ)
- デンマーク・コペンハーゲンを拠点とするデザインスタジオ。2019年に「Karimoku Case Study」のクリエイティブディレクターとして参加しています。建築・インテリア・プロダクトを手がけ、北欧デザインの感性とカリモクの技術を組み合わせた製品をつくっています。
このほかKarimoku New Standardでは、Big-Game、Scholten & Baijings、David Geckeler、熊野亘など国内外のデザイナーと協働しています。また、Karimoku Case StudyではNorman Foster(ノーマン・フォスター)が参加したほか、Zaha Hadid Design(ザハ・ハディド・デザイン)とのコレクション「SEYUN」も発表されています。
ブランドラインナップ
カリモク60(Karimoku60)
2002年に始まったブランド。1960年代から廃番にならずに作られてきた製品を「ロングライフデザイン」として再編集し、Kチェアやロビーチェアを中心に、普遍的な価値を持つ家具を提案しています。
ドマーニ(domani)
1983年に発表されたブランド。海外の様式を取り入れた、ヨーロピアンスタイルの家具を展開しています。
Karimoku New Standard(カリモクニュースタンダード)
2009年に設立されたブランド。国産広葉樹の未利用材を活用し、森林保全や林業地域の活性化に取り組みながら、国内外のデザイナーとの協働によって新しい家具デザインを提案しています。
Karimoku Case Study(カリモクケーススタディ)
2019年に発表されたブランド。1940年代の米国「ケース・スタディ・ハウス」プロジェクトに着想を得ており、建築の視点から空間と家具を考えるアプローチが特徴です。Norm Architectsと芦沢啓治がデザインを手がけ、住宅のほかホテルや飲食店などにも向けて展開しています。
基本情報
| ブランド名 | カリモク家具株式会社(Karimoku Furniture Inc.) |
|---|---|
| 創業 | 1940年(昭和15年) |
| 設立 | 1947年(昭和22年) ※2010年に刈谷木材工業株式会社とカリモク家具販売株式会社を統合し、現社名に変更 |
| 創業者 | 加藤正平 |
| 本社所在地 | 愛知県知多郡東浦町 |
| 事業内容 | 木製家具の企画・製造・販売(家庭用家具、コントラクト家具) |
| 主なブランド | カリモク60(2002年〜)、ドマーニ(1983年〜)、Karimoku New Standard(2009年〜)、Karimoku Case Study(2019年〜) |
| 代表的な製品 | Kチェア、ロビーチェア、コロニアルシリーズ |
| 公式サイト | https://www.karimoku.co.jp/ |