Swingline 747 Staplerは、1960年にアメリカのSwingline社によって発表された卓上ステープラーである。流麗な曲線を描くボディと堅牢な金属構造を特徴とし、20世紀中葉のアメリカンインダストリアルデザインを代表するプロダクトとして、半世紀以上にわたり世界中のオフィスで愛用されてきた。その洗練されたフォルムは、単なる事務用品の域を超え、現代においてはデスクアクセサリーとしての美的価値も高く評価されている。
特徴・コンセプト
Swingline 747の設計思想は、機能美と耐久性の両立にある。ボディ全体を金属で構成することで、長期使用に耐える堅牢性を実現しながら、アールデコの影響を受けた優美な曲線がデスク上に気品ある存在感をもたらす。
オープンチャンネル・ローディング機構
本製品の特筆すべき機能として、オープンチャンネル・ローディングシステムが挙げられる。この革新的な機構により、ステープル針の補充が従来製品と比較して格段に容易となり、業務効率の向上に大きく貢献した。マガジン部を上方に開くことで、針の残量確認と補充を直感的に行うことができる。
素材と構造
高品質なスチールを採用した本体は、適度な重量感によりデスク上での安定性を確保し、片手での操作を可能にしている。最大20枚の紙を一度に綴じる能力を有し、標準的な26/6規格のステープル針に対応する。クロームメッキを施したパーツと深みのある塗装仕上げが、製品全体に高級感を与えている。
エピソード
Swingline 747が世界的な知名度を獲得するきっかけとなったのは、1999年公開のアメリカ映画「Office Space」である。本作において、主要登場人物であるミルトン・ワダムスが赤いSwingline製ステープラーに異常なまでの執着を見せる場面が、印象的なコメディシーンとして観客の記憶に深く刻まれた。
興味深いことに、撮影当時のSwingline社は赤色の747モデルを製造していなかった。映画の小道具部門が既存の黒色モデルを赤く塗装して撮影に使用したのである。映画公開後、視聴者から赤いステープラーへの問い合わせが殺到したことを受け、Swingline社は2002年に「Rio Red」と名付けられた鮮やかな赤色モデルの製造を開始した。これは、映画というメディアが製品デザインに直接的な影響を与えた稀有な事例として、デザイン史においても重要な位置を占めている。
評価
Swingline 747は、その優れたデザイン性と機能性により、発売以来60年以上にわたり高い評価を受け続けている。アメリカのオフィス文化を象徴するアイコニックなプロダクトとして認知され、多くのデザイン関連書籍やコレクションにおいて、20世紀アメリカンインダストリアルデザインの代表作として紹介されている。
現代においては、レトロデザインへの関心の高まりとともに、機能的なデスクアクセサリーとしてのみならず、インテリアオブジェとしての価値も見出されている。クラシックな佇まいと確かな実用性を兼ね備えた本製品は、ミッドセンチュリーモダンやインダストリアルスタイルのインテリアとの親和性が高く、書斎やホームオフィスの演出に欠かせないアイテムとして再評価されている。
製品バリエーション
長い歴史の中で、Swingline 747は複数のカラーバリエーションとモデルが展開されてきた。
- Classic Black(クラシックブラック):伝統的な黒色仕上げ。クロームアクセントとの組み合わせが端正な印象を与える
- Rio Red(リオレッド):映画「Office Space」の影響で誕生した鮮烈な赤色モデル。現在最も人気のカラーバリエーション
- Vintage Models(ヴィンテージモデル):1960年代から70年代に製造されたオリジナル品は、コレクターズアイテムとして高値で取引されている
基本情報
| 製品名 | Swingline 747 Stapler |
|---|---|
| デザイナー | Swingline Design Team |
| メーカー | Swingline(現ACCO Brands傘下) |
| 発表年 | 1960年 |
| 原産国 | アメリカ合衆国 |
| 主要素材 | スチール、クロームメッキ |
| 綴じ枚数 | 最大20枚 |
| 対応針 | 標準26/6規格ステープル針 |
| カテゴリー | デスクアクセサリー / ステーショナリー |