概要

パーカー 51は、1941年にアメリカの筆記具メーカー、パーカー社が発表した万年筆である。ペン先の大部分をボディ内に収めるフーデッドニブを特徴とする。

特徴・コンセプト

当時の万年筆はペン先を露出させる形式が一般的だった。露出したペン先は空気に触れる面積が大きく、インクが先端で乾いて書き出しがかすれる。ボディで覆えば触れる面積が減り、乾燥が遅くなる。速乾性のインクを用いる場合、この差が大きい。

流線型デザイン

キャップからバレルへ、断面が連続して変化する。段差があればキャップの境界が明示されるが、連続していれば一本の形として読める。フーデッドニブによりペン先も筒状に収まるため、全体が一続きの輪郭をとる。

素材と色彩

ボディにはアクリル系の合成樹脂を用いる。従来のセルロイドは経年で収縮や変色を起こすが、この素材では寸法と色が保たれる。複数の色が展開された。

インク充填機構

パーカー 51は、発売当初はバキュマティック式、1948年以降はより信頼性の高いエアロメトリック式のインク充填機構を搭載した。特にエアロメトリック式は、透明なプラスチック製サックと金属製圧力バーの組み合わせにより、簡便かつ確実なインク補充を可能にし、万年筆の実用性を飛躍的に向上させた。

エピソード

「51」という名称は、パーカー社の創業51周年にあたる1939年に開発が完了したことに由来するとされる。1888年創業の同社にとって、1939年がちょうど51年目にあたった。発売は1941年だが、名称は開発完了年にちなむ。数字であれば言語を問わず通用するという実利的な理由もあったとされ、「51」はこのペンの象徴的な呼称として定着した。

評価と影響

ペン先を覆う構成は、書き味を確かめるために先端を見せるという万年筆の前提を変えている。同じく削って使う構成を保ったまま芯の配合だけを扱うブラックウィング 602とは、既存の形式への向き合い方が異なる。

4館の公開データでは、パーカー 51の収蔵は確認できていない。

継承と復刻

オリジナルは1972年に生産を終えた。2002年に限定の復刻、2021年に現代版が発表されている。

基本情報

製品名 パーカー 51 / Parker 51
デザイナー パーカー・デザインチーム(ケネス・パーカー、マーリン・ベイカーほか)
メーカー パーカー(Parker Pen Company)
発表年 1941年
生産終了 1972年(オリジナル)
製造国 アメリカ合衆国(ウィスコンシン州ジェーンズビル)、イギリス(ニューヘイブン)
主要素材 ルーサイト(合成樹脂)、ゴールドフィルド / ステンレススチール(キャップ)
ニブ 14Kゴールド フーデッドニブ
インク充填方式 バキュマティック式(1941-1948)、エアロメトリック式(1948-1972)
収蔵 イェール大学美術館、サイエンス・ミュージアム(ロンドン)ほか