概要
ナニ・マルキナ ラグは、1987年にスペイン・バルセロナで創業したラグブランド「nanimarquina(ナニマルキナ)」が展開するテキスタイルコレクションである。創業者ナニ・マルキナは、当時のスペインにコンテンポラリーなラグの市場が存在しないことに着目し、インド、パキスタン、ネパールの職人による手仕事と、現代のデザインを結びつけた。
ブルレック兄弟、ハイメ・アジョン、ロン・アラッド、ネリ&フーら外部デザイナーとの協働が、このブランドのデザインを形づくってきた。
特徴・コンセプト
ハンドノット、キリム、ダーリー、ハンドタフトといった技法を、図案に応じて使い分ける。技法によって結び目の密度と表面の起伏が変わるため、同じ図案でも見え方が異なる。一枚を織り上げるまでに数週間から数か月を要するものもある。
製造と社会的取り組み
1990年代前半に製造の拠点をインド北部へ移して以来、生産はインド、パキスタン、ネパールで行われている。素材はアフガニスタン産やニュージーランド産のウール、シルク、ジュート、ヘンプ、フェルト、リサイクル繊維など幅広い。2002年からは、インドとパキスタンの絨毯産業における児童労働の撤廃を目的とする団体Care & Fairと協働し、インド・バドヒの学校運営を支援している。2005年に発表されたビシクレタ(Bicicleta)は、使用済みの自転車チューブを素材に用いたコレクションである。同社はラグメーカーとして初めてClimate Neutral認証を取得した。
デザインコラボレーション
外部の設計者との協働により、図案の幅が広がっている。織物の図案を床面へ展開するという点では、アレキサンダー・ジラード ラグやルーニーラグ(ロクブリュンヌ ラグ)も同じ課題を扱う。
代表的なコレクション
Losanges(ロザンジュ)
ロナン&エルワン・ブルレックによる2011年のコレクション。手紡ぎのアフガンウール100%をキリム技法で織り上げ、菱形を連ねた幾何学模様に13色を配する。ペルシャ絨毯の構図を分解し、パターンと形と色を一体の構成システムとして扱った点に特徴がある。厚みは約4mm。
ハイメ・アジョンとの協働
創業30周年にあたる2017年のHayon × Naniは、ハンドタフト技法によりアジョンの下絵の線を忠実に写し取ったコレクション。一見すると色と形が入り乱れているが、目を凝らすと亀、唇、手、魚、半人半鳥が現れる。のちにアジョンとナニ・マルキナが共作したSilhouetteでは、柔らかな曲線と有機的な輪郭が主題となった。
Bicicleta(ビシクレタ)
バルセロナのコンセプチュアルデザイナー、マルティ・ギセによる2005年の作品。使用済み自転車チューブを素材とし、ラグの寿命と循環に踏み込んだ同社最初期の試みにあたる。
Chillida(チリーダ)
バスク出身の彫刻家エドゥアルド・チリーダ(1924–2002)の作品を基にしたコレクション。チリーダ財団との協力のもと、黒と余白によるチリーダの構成をテキスタイルへ移している。
Tres(トレス)
ウール、フェルト、コットンの比率を変えた三つのパートを接合して一枚に仕上げるフラットウィーブ。同社で最も広く流通するコレクションであり、リサイクルPET繊維を用いた屋外用や、ヘンプを使ったTres Vegetalなどの派生も展開される。
創業の経緯
ナニ・マルキナ(1952年バルセロナ生まれ)は、バルセロナのエスコラ・マッサーナで工業デザインを学んだ。父ラファエル・マルキナは、液だれしないオイル差し「Marquina 1961」で知られるスペイン工業デザインの先駆者である。彼女は1973年に建築事務所で働き始め、1984年に最初のラグを手がけた。
1987年の創業当時、スペインの家庭に敷かれるラグはペルシャ絨毯が主流で、現代的なデザインのラグはほとんど流通していなかった。翌1988年には輸出を開始する。1990年代前半にインドへ製造を移したことで、職人技を設計の前提に組み込む現在の方法が定まった。2002年に次世代が経営に加わり、2014年にはニューヨークに拠点を設けている。
評価と影響
ナニ・マルキナは2005年、スペイン国家デザイン賞とバルセロナ商工会議所の企業経営賞を受けている。
4館の公開データでは、ナニマルキナのラグの収蔵は確認できていない。
ナニ・マルキナの設計思想や経歴について詳しくはナニ・マルキナプロフィールページをご覧ください。
ナニ・マルキナの歴史や他の製品について詳しくはナニ・マルキナブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | ナニ・マルキナ ラグ / Nani Marquina Rugs |
|---|---|
| デザイナー | ナニ・マルキナ(Nani Marquina)および協働デザイナー |
| ブランド | nanimarquina(ナニマルキナ) |
| 創業年 / 創業地 | 1987年 / スペイン・バルセロナ |
| 製造地 | インド、パキスタン、ネパール |
| 主要素材 | アフガンウール、ニュージーランドウール、コットン、ヘンプ、ジュート、シルク、フェルト、リサイクルPET |
| 製造技法 | ハンドノット、キリム、ダーリー、ハンドタフト |
| 主な協働デザイナー | ロナン&エルワン・ブルレック、ハイメ・アジョン、イルゼ・クロフォード、ネリ&フー、ロン・アラッド、トード・ボーンチェ、マルティ・ギセ |
| 認証 | Climate Neutral認証、Care & Fair パートナー |