概要

アレキサンダー・ジラード ラグは、ジラードが1950年代から70年代にかけて描いた図案を、テキスタイルメーカーのマハラムがラグとして製品化したコレクションである。プラス(1960年)、ステップス(1960年)、チェック(1956年)のコットン3種と、ウール混のミラーストライプ(1973年)で構成される。

特徴・コンセプト

用途の違う図案を床へ移す

原案はいずれもラグとして描かれたものではない。プラスとステップスは1960年、ニューヨークのタイム&ライフ・ビルに開店したレストランのためのプリントナプキンの図案にさかのぼる。チェックは1956年、テーブルセッティングとして起こされた市松である。ミラーストライプは1973年の椅子張り地にあたる。

図案の縮尺は媒体によって変わる。ミラーストライプのラグ版では、元の多色ストライプを2倍の縮尺で再現している。ナプキンの寸法で成立していた比率を、床の面積に合わせて取り直したことになる。

形は単純に、色で変化をつくる

十字、階段、市松、縞。図案の形そのものは単純で、変化は色の組み合わせが担う。マゼンタとスカイブルー、エメラルドとピンクといった配色が用いられる。

素材と製法

プラス、ステップス、チェックはコットン100%のフラットウィーブで、インドで手織りされる。ミラーストライプは手織りのウールツイルで、ウール70%、コットン24%ほかによる。縁は手縫いで仕上げられる。手染めの糸を用いるため、同一の色でも色調と質感に個体差が生じる。

エピソード

ジラードは1952年から1973年まで、ハーマンミラーの繊維部門で初代のデザインディレクターを務め、300を超える生地と壁紙の図案を残した。ラグの原図の多くはこの時期のものである。

製品化にあたっては、ミシガン州ジーランドにあるハーマンミラーのアーカイブと、ジラードの孫が運営するジラード・スタジオの監修を経ている。コットンの3種は2018年、ミラーストライプのラグ版は2021年の発表にあたる。

評価と影響

ジラードが生前にこれらの図案をラグとして製品化した事実はない。オリジナルのラグの復刻ではなく、既存の図案を別の媒体へ移し替えた製品にあたる。1950年代から70年代にジラードの図案で実際に織られたヴィンテージのテキスタイルは、現行品とは別の市場で扱われる。

同じジラードによるウッデンドールも、本人の手を離れたのちに製品化された例にあたる。図案を床の敷物へ展開する点ではアンニ・アルバース(アニ・アルバース) ラグと共通するが、あちらは織り構造そのものが模様になる。

基本情報

名称 アレキサンダー・ジラード ラグ / Alexander Girard Rugs
デザイナー アレキサンダー・ジラード(Alexander Girard)
製造 マハラム(Maharam)/ライセンス:Girard Studio, LLC
原図の制作年 チェック 1956年/プラス・ステップス 1960年/ミラーストライプ 1973年
ラグとしての発表年 プラス・ステップス・チェック 2018年/ミラーストライプ 2021年
デザインの成立国 アメリカ
分類 ラグ
主要素材 プラス・ステップス・チェック:コットン100%/ミラーストライプ:ウール70%、コットン24%ほか
製法 手織り(フラットウィーブ/ツイル)。インドで製作
成り立ち ラグとして描かれた図案ではなく、ナプキン・テーブルセッティング・張り地の図案を移し替えたもの

Reference