ネッソは、ジャンカルロ・マッティオーリと「チッタ・ヌオーヴァ都市計画建築家グループ(Gruppo Architetti Urbanisti Città Nuova)」が設計し、イタリアの照明メーカー、アルテミデが1967年から生産しているテーブルランプである。傘部と脚部が一体となった曲面が、上から見るとキノコに、横から見るとクラゲに似た輪郭を描く。オレンジ色の半透明樹脂を通した光とともに、1960年代のプロダクトデザインを象徴する一台として知られる。
特徴・コンセプト
電球を消し去るという課題
設計上の主題は、光源を見せずに空間全体を穏やかに照らすことにあった。マッティオーリらはクラゲの形状を手がかりに、傘部の内側に4灯の電球を収め、半透明の樹脂を通してその光を拡散させる構成をとった。傘の縁の下からはベース周辺に直接光が落ち、拡散光と直接光が併存する。中央のくぼみは、光の分布を整えるとともに、この照明の造形上の要となっている。
素材と成型
初期の生産品はガラス繊維で補強したポリエステル樹脂でつくられていた。現行品はABS樹脂を鏡面仕上げの金型で射出成型しており、傘部とベースがそれぞれ継ぎ目のない一体の曲面として成形される。半透明のABS樹脂は、光を通したときに独特の色味を帯びる。とりわけオレンジは、この照明を語るうえで欠かせない要素となっている。
寸法とバリエーション
傘部の直径は約54cm、高さは約34cm。テーブルランプとしては大きく、置き場所を選ぶ。より小型のネッシーノ(Nessino)も展開されており、こちらはポリカーボネート製で、カラーバリエーションが広い。
成立の経緯
マッティオーリは1961年、ボローニャでチッタ・ヌオーヴァ都市計画建築家グループを結成した。建築家を単独の創作者と見なす考え方から距離を置き、共同で設計にあたることを方針としたグループである。1965年、彼らはアルテミデと出版社エディトリーチェ・ドムスが共催したコンペティション「Studio Artemide Domus di Milano」に、クラゲの形に着想を得たランプを出品して第1位を獲得した。この案が2年後、ネッソの名で製品化される。
ランプは発表と同時に映像作品にも登場した。1967年公開のフランス映画『オスカー』(エドゥアール・モリナロ監督)では、オレンジのネッソが室内装飾として画面に映っている。以後も断続的に映画のセットに用いられ、1960年代後半の室内を示す記号として定着していった。
評価と収蔵
ネッソは、樹脂の射出成型という当時新しかった生産技術を、装飾ではなく光の質のために用いた点で評価されてきた。傘の内側に光源を隠すという設計課題への解答が、そのまま外形を決めている。
ニューヨーク近代美術館(MoMA)は、ガラス繊維強化ポリエステル樹脂製の初期型を1967年にアルテミデからの寄贈で収蔵している(Object number 330.1967)。このほか、メトロポリタン美術館、デンバー美術館、イスラエル博物館、モントリオール装飾美術館、ミラノのイタリアデザイン常設美術館などが所蔵している。
基本情報
| 名称 | ネッソ(Nesso) |
|---|---|
| デザイナー | ジャンカルロ・マッティオーリ(Giancarlo Mattioli)+ Gruppo Architetti Urbanisti Città Nuova |
| ブランド | アルテミデ(Artemide) |
| 年代 | 1965年設計(コンペティション受賞)/1967年生産開始 |
| 原産国 | イタリア |
| 素材 | ABS樹脂(射出成型)※初期生産品はガラス繊維強化ポリエステル樹脂 |
| カラー | オレンジ、ホワイト |
| 寸法 | 傘部直径 約54cm × 高さ 約34cm(ベース直径 約21cm) |
| 光源 | 4灯(欧州仕様はE14口金、北米仕様はE12口金/各最大25W) |
| スイッチ | コード上のON/OFFスイッチ |
| カテゴリー | テーブルランプ |