概要
9093ケトルは、マイケル・グレイヴスが1985年にアレッシィのために設計したケトルである。注ぎ口の先端に鳥の形をした笛が付き、湯が沸くと鳴る。鏡面仕上げのステンレス鋼の本体と、色の付いたポリアミドのハンドルを組み合わせる。
特徴・コンセプト
笛を鳥の形にする
沸騰を知らせる笛は、蒸気が細い開口を通ることで鳴る。開口の形は音を決めるが、外側の形は自由に取れる。グレイヴスは注ぎ口に止まる鳥の姿を与えた。機能に必要な部分と、そこに載る形が分けられている。
触れる部分だけ樹脂にする
本体を金属でつくると、加熱時にハンドルも熱くなる。ハンドルと笛にポリアミドを用いれば、直接手で持てる。青いハンドルは、触れられる部分がどこかを色で示している。
円錐形にする
本体は下部が広く上へすぼまる円錐形をとる。底面積が大きいほど熱を受ける面が広くなり、上をすぼめれば蒸気が笛へ集まる。底部にはリベットが並ぶ。
展開
ハンドルの色はライトブルーのほか複数が用意される。2023年には1リットル容量の小型版が加わった。IHに対応する。
エピソード
グレイヴスとアレッシィの関係は、1979年に始まったティー&コーヒー ピアッツァの企画にさかのぼる。11名の建築家にコーヒー・ティーセットの設計を委嘱するもので、グレイヴスも参加した。
1985年、アレッシィが初めてアメリカの設計者に製品開発を委託したのがこのケトルである。以後、協働は長く続いた。製造はイタリア・オメーニャの工場で行われる。
評価と影響
同じ企画から生まれた量産品では、アルド・ロッシによるラ・クーポラが1988年に発表されている。どちらも限定の銀器として始まった企画が、量産の器具へ移された例にあたる。
収蔵
以下の収蔵が確認できる(V&A=ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)。同館は objectType をケトルとし、アレッシィ製・グレイヴス設計の1985年の品として登録している。
- V&A ケトル(1985年) 収蔵番号 M.11 to B-1990
マイケル・グレイヴスの設計思想や経歴について詳しくはマイケル・グレイヴスプロフィールページをご覧ください。
アレッシィの歴史や他の製品について詳しくはアレッシィブランドページをご覧ください。
基本情報
| 名称 | 9093 ケトル / 9093 Kettle |
|---|---|
| デザイナー | マイケル・グレイヴス(Michael Graves) |
| ブランド | アレッシィ(Alessi) |
| 発表年 | 1985年 |
| デザインの成立国 | イタリア |
| 分類 | ケトル |
| 主要素材 | 18/10ステンレス鋼(鏡面仕上げ)、ポリアミド(ハンドル・笛) |
| 構造 | 下が広く上へすぼまる円錐形。触れる部分だけを樹脂にする |
| サイズ | 直径220mm × 高さ225mm、容量2リットル |
| 対応熱源 | IH対応 |
| 製造 | イタリア・オメーニャ |
| 収蔵 | V&A(M.11 to B-1990) |
Reference
- Kettle | Victoria and Albert Museum
- https://api.vam.ac.uk/v2/objects/search?q=M.11-1990
- 9093 | Alessi
- https://www.alessi.com/products/9093