InOut 23は、イタリアの巨匠デザイナー、パオラ・ナヴォーネが名門家具ブランドGervasoniのために創造したアウトドアチェアである。1882年の創業以来、自然素材と伝統的職人技への深い敬意を貫いてきたGervasoniの哲学を体現しながら、現代的な洗練性と実用性を兼ね備えた逸品として誕生した。InOutコレクションの一翼を担うこの椅子は、屋外空間に優雅さと快適性をもたらす革新的なデザインアプローチを示している。

鋳造アルミニウムに粉体塗装を施した構造は、耐候性と美的洗練を高次元で両立させている。ホワイト、オレンジ、グレー、セージ、ティールなど豊かな色彩展開により、多様な屋外環境との調和を可能とし、テラス、パティオ、ガーデンといった様々な空間に適応する柔軟性を備えている。高さ79センチメートル、幅39センチメートル、奥行48センチメートルという寸法設計は、人体工学的配慮と視覚的バランスの絶妙な均衡点を見出している。

デザインの特徴とコンセプト

InOut 23の本質は、パオラ・ナヴォーネが長年追求してきた「境界の解消」という思想に根ざしている。屋内と屋外の明確な区分を超越し、居住空間の延長として屋外環境を捉える革新的視点が、このチェアの設計理念の核心を形成している。アルミニウムという素材選択は、単なる機能的判断を超えた哲学的決断である。この金属が持つ軽量性、耐久性、そして現代性は、伝統的な屋外家具に対する固定観念を覆し、新たな美意識の地平を切り拓いている。

粉体塗装技術の採用は、表面処理における技術的卓越性を示すと同時に、色彩表現の可能性を拡張している。均一で滑らかな仕上がりは、視覚的洗練を実現しながら、紫外線や降雨といった自然環境の過酷な試練に耐える実用的堅牢性を保証している。シンプルな造形言語は、装飾的過剰を排し、形態の本質的純粋性を追求する現代デザインの潮流を体現している。

InOutコレクションの哲学

InOutコレクション全体を貫く思想は、屋外空間に対する根本的な再解釈である。かつて単なる付属的空間と見なされがちだった庭園やテラスを、生活の中心的舞台として再定義する試みが、このコレクションの存在意義となっている。エキゾチックな要素と洗練されたミニマリズムが交錯するデザインアプローチは、ナヴォーネの世界各地への旅から得た豊穣な視覚的記憶と、ヨーロッパ伝統の洗練された美意識との融合から生まれている。

チーク材、セラミック、石材、アルミニウム、手編みポリエチレンといった多様な素材の選択と組み合わせは、自然と人工、伝統と革新の対話を創出している。InOut 23におけるアルミニウムの選択は、この哲学的枠組みにおいて、現代技術の美的可能性を探求する具体的実践として位置づけられる。

パオラ・ナヴォーネとGervasoniの創造的パートナーシップ

パオラ・ナヴォーネとGervasoniの協働関係は、1988年に始まり、現代イタリアン家具デザインの最も実り豊かな創造的パートナーシップの一つとして歴史に刻まれている。1998年にナヴォーネがGervasoniのアートディレクターに就任して以降、このブランドは劇的な変貌を遂げ、国際的認知を獲得した。彼女のエクレクティックな美意識と、Gervasoniが1882年の創業以来培ってきた職人的伝統との融合は、独自の設計言語を確立している。

ナヴォーネは1950年トリノに生まれ、1973年にトリノ工科大学で建築学を修めた。1979年、アレッサンドロ・メンディーニ、エットーレ・ソットサス・ジュニア、アンドレア・ブランツィらとともに前衛デザイン集団Alchimiaに参加し、イタリアン・ラディカルデザイン運動の中心的存在となった。1983年には大阪国際デザイン賞を受賞し、国際的評価を確立している。彼女の設計哲学は、世界各地への絶え間ない旅行から得た文化的洞察と、伝統工芸への深い敬意、そして現代的感性の三者が交差する地点に存在している。

デザインの系譜と文脈

InOut 23は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて展開された屋外家具デザインの進化における重要な節点として理解される。伝統的に、屋外用家具は耐久性を優先し、美的洗練は二次的考慮事項とされてきた。しかしながら、20世紀末以降、居住空間の概念が拡張され、屋外が居住体験の不可欠な要素として認識されるに伴い、デザインアプローチも根本的変革を遂げた。

このチェアは、北欧デザインの機能主義、イタリアン・ラディカルデザインの実験精神、そして東洋美学のミニマリズムという三つの伝統を統合している。ナヴォーネのAlchimia時代の前衛的姿勢は、装飾的過剰を排したシンプルな造形に昇華され、同時に彼女のアジア滞在経験から得た「わびさび」の美意識が、不完全性の中に完全性を見出す視点として反映されている。アルミニウムという工業材料の選択は、現代技術への信頼を示すと同時に、軽量性による空間的軽やかさという詩的効果を創出している。

評価と影響

InOut 23を含むInOutコレクションは、現代屋外家具デザインにおける範例として、デザイン専門家および建築家から高い評価を受けている。このチェアが体現する「屋内品質の屋外家具」という概念は、21世紀のライフスタイル変化、特に屋外空間の居住空間化という趨勢を先取りしたものとして認識されている。

Gervasoniの屋外コレクションは、世界80カ国以上で展開され、高級ホテル、リゾート施設、個人邸宅の屋外空間を彩っている。InOut 23の簡潔な造形言語は、多様な建築様式との調和を可能とし、都市的コンテンポラリー空間から自然に囲まれた郊外環境まで、幅広い文脈での活用を実現している。デザイン批評においては、その普遍的モダニズムと文化的越境性が特に評価されており、グローバル化時代における地域性と普遍性の融合の成功例として論じられている。

基本情報

デザイナー パオラ・ナヴォーネ(Paola Navone)
ブランド Gervasoni
コレクション InOut
分類 アウトドアチェア
素材 粉体塗装アルミニウム(鋳造)
寸法 高さ79cm × 幅39cm × 奥行48cm、座面高46cm
仕上げ ホワイト、オレンジ光沢、グレー、セージ、ティールほか
生産国 イタリア