概要
BeoSound 9000は、1996年にデンマークのBang & Olufsenが発売したCDプレーヤーである。同社のチーフデザイナーを務めたデイビッド・ルイスが手掛け、6枚のCDを一列に並べ、電動式のガラス扉越しにその動作を見せるという構成を特徴とする。機構を隠さず正面に配置したデザインは、黒い箱型が主流だった当時のオーディオ機器とは対照的なものであった。
製造はMK I〜MK IIIへと改良を重ねながら2011年まで続けられ、壁掛け(縦・横)、専用スタンド、平置きなど複数の方法で設置できる点も特徴であった。
デザインと設置
Bang & Olufsenが伝えるところでは、デザインの着想は1995年、ロンドン・ソーホーのレコード店のショーウィンドウに6枚のCDが横一列に並んでいるのを見たことから生まれたという。音楽を箱の中に隠すのではなく、ジャケットを並べて「見せる」というコンセプトが、そのまま製品の基本構成となった。
本体はスモークガラスの扉と機械加工されたアルミニウムで構成される。設置方法に合わせて細部にも配慮があり、Bang & Olufsenのロゴが付いた円形プレートは回転式で、どの向きに設置してもロゴを正位置に合わせられる。コントロールパネルはマグネット固定式で、電源を入れたまま取り外して180度回転でき、その際ディスプレイの表示も自動的に反転する。また、再生したCDは挿入時の向きに戻されるため、ジャケットの文字が常に読みやすい向きで表示される。
機構と安全設計
6枚のCD間を移動するクランパー機構は高速で動作する。Bang & Olufsenによれば、そのまま加速を続けた場合5.5秒で時速100kmに達する計算で、スポーツカーに匹敵する速さだという。CD間の移動が速く静かなため、ディスクの切り替えは曲間の間隔とほとんど変わらないとされる。
多数の可動部を安全に扱うための機構も備える。フレーム両端のレンズが本体前面に赤外線ビームを張り、指や異物がビームを遮るとクランパーは直ちに停止する。ガラス扉を開けた状態ではクランパーの移動速度が落ちる。電動式のガラス扉は、縦・横いずれの設置でも動きが一定になるよう動作時間を3.5〜4秒に保つよう制御されている。
評価とポップカルチャー
BeoSound 9000はiFデザイン賞を受賞している。また映画やテレビドラマへの登場も多く、Bang & Olufsenは『セックス・アンド・ザ・シティ』『10日間で男を上手にフる方法』『フレンズ』などでの使用例を挙げている。洗練された住空間を示す小道具として、しばしば画面に登場した。
現代への継承
2024年、Bang & Olufsenは「Recreated Classics(リクリエイテッド・クラシックス)」プログラムの第2弾として、Beosystem 9000cを発表した(第1弾は2020年のBeogram 4000c)。これは中古のBeoSound 9000を200台調達し、デンマーク・ストルーアの工場で分解・整備のうえ再構築したもので、当時の製造に携わった技術者が当時の作業台を用いて作業にあたった。
オリジナルの黒とアルミニウムの仕上げを反転させ、ワイヤレス接続などの現代的な機能を加えたうえで、スピーカーBeolab 28と組み合わせたシステムとして提供された。価格は55,000米ドル(約50,000ユーロ/45,000ポンド)、世界限定200台であった。
基本情報
| 製品名 | BeoSound 9000 |
|---|---|
| メーカー | Bang & Olufsen |
| デザイナー | デイビッド・ルイス(David Lewis) |
| 発売年 | 1996年 |
| 製造期間 | 1996年〜2011年(MK I〜MK III) |
| 製造国 | デンマーク |
| 寸法 | W900 × H70 × D300 mm |
| 重量 | 11.5 kg |
| 仕上げ | ブラック/アルミニウム、ブラック/ホワイト(1500台限定) |
| CD容量 | 6枚 |
| ラジオ | FM/AM(60局プリセット、RDS対応) |
| 消費電力 | 通常12W、スタンバイ時1.2W以下 |
| 接続端子 | Power Link、AUX、MasterLink、デジタル出力(S/PDIF)、ヘッドフォン |
| 主な受賞歴 | iFデザイン賞 |
| 参考価格(1996年発売時) | 5,650マルク(ドイツ) |