Cobra Candleholder(コブラ キャンドルホルダー)は、2008年にドイツ人デザイナーのコンスタンティン・ワートマンがGeorg Jensenのためにデザインした、瞬く間にデザイン界の古典となった象徴的なキャンドルホルダーである。溶けた蝋を思わせる流麗な曲線と、重力に逆らうかのような躍動的なフォルムが特徴的なこの作品は、機能性と彫刻的な美しさを見事に融合させている。ミラーポリッシュ仕上げのステンレススチールが生み出す輝きは、揺らめく炎の光を反射し、空間に劇的な陰影をもたらす。

Cobraコレクションは発表以来、Georg Jensenの最も人気の高いコレクションのひとつとして世界中で愛されており、そのユニークなデザインは現代スカンジナビアデザインの重要な一角を占めている。スモール、ミディアム、ラージの3サイズ展開により、単体での使用はもちろん、複数を組み合わせることで無限のアレンジメントが可能となっている。

特徴とデザインコンセプト

「形は感情に従う」という哲学

コンスタンティン・ワートマンは、伝統的な「形態は機能に従う」という近代デザインの原則に新たな解釈を加え、「形は感情に従う(Form follows emotions)」という独自の哲学を掲げている。彼は製品デザインには完璧な機能性とエルゴノミクス以上のもの、すなわち「詩的な要素」が必要であると信じており、Cobra Candleholderはまさにその思想を体現した作品である。ユーモアのセンスと遊び心を持ちながらも、決してデザインを過度に真面目に扱わない姿勢が、このキャンドルホルダーの魅力を生み出している。

溶解する蝋からの着想

ワートマン自身が語るように、Cobra Candleholderのデザインは「伝統的なキャンドルスティックのシルエットに有機的な曲線を想像した」ことから生まれた。その結果、まるで古典的なキャンドルスティックが溶け始めたかのような外観を持ちながら、しなやかな生命力を放つ、機能的にも完璧な作品が誕生した。この有機的な曲線は単なる装飾ではなく、重力に逆らって立ち上がるような動的なフォルムを生み出し、見る者の視覚的期待を巧みに裏切る仕掛けとなっている。

コブラの蛇に由来する力強さ

その名が示すとおり、このキャンドルホルダーはコブラの蛇の持つ特性からインスピレーションを得ている。堂々として力強く、印象的な存在感を放つ。蛇のようにうねる形状は静的な彫刻ではなく、まるで今にも動き出しそうな生き生きとした活力を湛えている。単体で配置すれば蛇のような生命感を、複数を組み合わせればエレガントなキャンデラブラのような構造を形成し、互いに絡み合うようにして無数の変化を生み出すことができる。

ミラーポリッシュ仕上げの輝き

高度に磨き上げられたステンレススチールの表面は、キャンドルの炎を鮮やかに反射し、周囲の空間に躍動的な光の効果をもたらす。この鏡面仕上げは単に美的な選択であるだけでなく、キャンドルホルダーとしての機能を高める要素でもある。揺らめく炎の光が滑らかな曲面に映り込むことで、静かな夜の食卓やクリスマスの季節を特別な雰囲気で満たしてくれる。

エピソードと背景

即座にデザインクラシックへ

2008年に発表されたCobra Candleholderは、その斬新なデザインによって瞬く間にデザイン愛好家たちの注目を集めた。従来のキャンドルホルダーの概念を覆す有機的なフォルムは、発表当初から高い評価を受け、すぐにGeorg Jensenを代表するアイコニックなプロダクトのひとつとなった。コレクションはその後、キャンドルホルダーにとどまらず、カラフェ、ボウル、カトラリー、グラスウェア、テーブルランプなど多様なホームアクセサリーへと展開され、2021年にはさらに新しいアイテムが追加されるなど、継続的な成功を収めている。

ワートマンとGeorg Jensenの出会い

コンスタンティン・ワートマンは1970年ミュンヘン生まれのインダストリアルデザイナーである。ハンブルクとミュンヘンのデザイン大学で工業デザインを学び、1995年から1998年にかけては、著名な照明デザイナーであるインゴ・マウラーのデザインチームに所属し、その影響を色濃く受けた。1998年の卒業後、ベンジャミン・ホップと共にミュンヘンにデザインスタジオ「Büro für Form」を設立。2006年にホップが独立した後も、ワートマンは単独でスタジオを率い、国際的な製造業者のためにインテリア、プロダクト、照明デザインを手がけ続けている。Georg Jensenとのコラボレーションは、彼の独創的な才能と老舗シルバースミスの卓越した工芸技術が見事に融合した事例である。

Georg Jensenの伝統と革新

Georg Jensenは1904年、デンマークの銀細工師ゲオルグ・イェンセン(1866-1935)によってコペンハーゲンに設立された。創設者は彫刻家としての訓練も受けており、その芸術的感性と職人としての技術を融合させることで、20世紀スカンジナビアデザインの性格を定義する重要な役割を果たした。アール・ヌーヴォー様式の有機的な形態を取り入れながらも、ロマン主義的な装飾に偏ることなく、シンプルで機能的な美を追求した彼の姿勢は、今日まで受け継がれている。1935年の創設者の死去時には、世界で最も重要な銀細工工房のひとつとして認められており、ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン紙は彼を「過去300年で最も偉大な銀細工師」と称えた。

評価と影響

Cobra Candleholderは現代デザインにおける成功例として、専門家と一般消費者の双方から高い評価を獲得している。その革新的なデザインは、機能的なオブジェクトが同時に彫刻的な芸術作品たりうることを示し、日常の食卓に劇的な要素をもたらすことに成功した。複数のサイズを組み合わせることで無限のアレンジメントが可能という柔軟性も、世界中のインテリアデザイナーや個人ユーザーから支持される理由となっている。

Cobraコレクション全体の成功は、コンスタンティン・ワートマンの「形は感情に従う」という哲学の正しさを証明している。彼の作品は、実用性を犠牲にすることなく、ユーモアと詩的な美しさをデザインに注入することの重要性を示唆している。Georg Jensenという歴史ある銀細工工房が、若い世代のデザイナーとのコラボレーションを通じて現代的なデザイン言語を獲得し続けていることも、このプロジェクトの重要な側面である。

Cobra Candleholderは発表から15年以上が経過した今日においても、その魅力を失うことなく、むしろ真の「デザインクラシック」としての地位を確立している。それは流行に左右されない普遍的な美しさと、時代を超えて人々の感情に訴えかける力を持った、優れたプロダクトデザインの証である。

受賞歴

Cobraコレクションは「受賞歴のあるコレクション(award-winning collection)」として知られているが、具体的な賞の名称については公式資料で明確に記録されていない。しかしながら、コンスタンティン・ワートマンが率いるBüro für Formは、その活動全体を通じて数多くの国際的な賞を受賞しており、Form Design Award 2003、Design Plus Award 2004、iF Design Award 2005などの栄誉を獲得している。Cobraコレクションの商業的成功と批評家からの高い評価は、それ自体が作品の卓越性を物語っている。

基本情報

デザイナー コンスタンティン・ワートマン(Constantin Wortmann)
ブランド Georg Jensen(ゲオルグ イェンセン)
デザイン年 2008年
カテゴリー キャンドルホルダー / ホームアクセサリー
素材 ステンレススチール(ミラーポリッシュ仕上げ)
サイズ展開 スモール(高さ16cm)、ミディアム(高さ20cm)、ラージ(高さ24cm)
対応キャンドル 直径2.2cmの標準サイズキャンドル
製造国 デンマーク
コレクション Cobraシリーズ(キャンドルホルダー、カラフェ、ボウル、カトラリー、グラスウェア、テーブルランプなど)